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シートパイプ暗渠工法の特徴

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シートパイプ暗渠工法の特徴

 

【従来暗渠との比較の観点からの特徴】

 シートパイプ暗渠は従来工法にない,以下に示すようなすぐれた特徴を有する。

  • 疎水材が不要である。
  • 次年度以降の弾丸暗渠の施工が不要である。
  • 管内の洗浄は自動的になされるので意図的に実施する必要がない。
  • 不整形の圃場,砂礫を含む圃場での施工が可能である。
  • 管内通気によって土壌改良効果が期待できる。
  • 管布設に掘削なく,疏水材を使用しないため,施工が迅速である(60a/日)。
  • 疏水材の透水性不良や吸水管の目詰まりが生じないため,排水効果が半永久的に持続する。

 

【開発の根本思想に基づく観点からの特徴】

 柳武実氏は掘削暗渠の自然を破壊する工法に疑問を抱き,自然に逆らわない効果的な暗渠排水工法はないかと思案し,シートパイプ暗渠工法に辿り着いた。本工法は弾丸暗渠をベースにした工法であり,次の5項目を根本思想として開発・改良が進められてきた。

 つまり,施工に関与するあらゆる「もの」の気持ちになって最善の環境となるよう配慮し,開発されてきた。恐らく他の工法でここまで配慮がなされた工法はないであろう。

  • 圃場にやさしく
  • 作物にやさしく
  • 施工機械にやさしく
  • 作業員にやさしく
  • 維持管理者にやさしく
  • 圃場にやさしい

 掘削を必要最小限に留めている。掘削箇所はシートパイプ引き込みのための始点と終点のピット,排水ピットおよび通気口ピットのみである。

 掘削を最小限に抑えることで,圃場から粘土およびシルトの流出が少ない。

 圃場表面を走行する重機の数が少ない。重機はブルドーザ1台とバックホウ2台のみである。バックホウはそれぞれ上流側ピットの掘削と下流側ピットの掘削を受け持ち,圃場中央を走行することはない。ブルドーザのみが圃場表面を往復走行するが,超湿地ブルドーザを使用するため,圃場表面への負荷は小さい。

 シートパイプ暗渠工法ではシートパイプと直角方向に弾丸暗渠が施工されるが,これは初年度のみで次年度以降に弾丸暗渠の施工は不要である。したがって,頻繁な弾丸暗渠施工による耕盤破壊の心配がない。

 また,シートパイプ暗渠工法では疎水材を使用しないので,砂利等の圃場面への散乱やモミガラ腐敗による水質汚濁の心配がない。

  • 作物にやさしい

 シートパイプ暗渠では水閘を開放した後は管内に通気を行う。吸水管(シートパイプ)から空気が侵入することにより耕盤層に乾燥亀裂が発生し,その亀裂を利用して作物根が根を深く,かつ広く伸ばすことができるため,倒伏に強くなるとともに干ばつにも強くなる。

 また,シートパイプ周辺に発達した亀裂を通じて地下から土中に空気が供給され,作物根群領域が好気的となるとともに,好気的微生物が増殖し,土壌改良が促進される。

  • 施工機械にやさしい

 シートパイプ暗渠におけるブルドーザの役割は弾丸孔の穿孔とシートパイプの引き込み作業のみであるので,牽引の負荷はそもそも小さい。

 また,立て板および弾丸の摩耗が最小となるように弾丸先端の形状を模索し決定した。これによって牽引負荷がさらに改善された。

 また,弾丸の形状とブルドーザのバランスを相互に検討することにより,引き込み開始時および押し込み施工時における安定走行も可能とした。

  • 作業員にやさしい

 作業の役割分担を明確にし,各分担作業に専念することで作業効率が向上した。ブルドーザのオペレータは弾丸孔の穿孔とシートパイプの引き込み作業を行う。バックホウのオペレータ2名は上流側ピットの掘削と下流側ピットの掘削をそれぞれ担当する。上流側ピット内の作業員はシートパイプと弾丸の接続,通気口の設置を担当し,下流側ピット内作業員はシートパイプの切断と集水渠と吸水管の接続と排水管の設置を担当する。

 パイパーの軽量化を図り,作業員の負担を軽減した。開発当初,パイパー重量は13kgで,シートパイプ重量12kgと合わせると25kgであり,その運搬は重労働であった。その後,材質等を変更しパイパー重量は4.5kgまで軽量化された。

 開発当初の立て板の脱着は人力でなされていたが,油圧による脱着に改良され,上流側ピット作業員の負担が軽減された。

  • 維持管理者にやさしい

 他の暗渠工法では吸水管内に堆積した土砂を排除するために高圧洗浄作業が必要であるが,シートパイプ暗渠では水閘開放時の水勢により自動洗浄されるので特別な洗浄作業は必要ない。

 シートパイプに直交する方向の弾丸暗渠の施工は初年度のみで,次年度以降の弾丸暗渠施工を必要としない。したがって,耕盤が破壊されず,しっかりと維持される。

 疎水材を使用する従来暗渠工法では疎水材の通水性が次第に低下し,仕舞いには排水機能の停止に至る。一方,シートパイプ暗渠工法では通常の維持管理(水稲栽培終了時の水閘開放,吸水管内の通気,耕盤の亀裂促進など)に努めれば,シートパイプ暗渠の排水機能は半永久的に持続する。

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